上空の気象観測とは

  上空の気象を観測することは、天気予報にとってはもちろんのこと、煙突から出る排ガスの流れと薄まり方(大気拡散)を知る上でとても大切です。

  大気拡散には、上空の風向と風速、気温の鉛直分布の状態が特に大きく影響します。

  風向は風向きのことで、自分の方へ排ガスが来るか来ないかに関係しますから直感的にわかります。

  風速は、風の速さや強さです。風速が強いと濃い排ガスが早い速度でやって来るように思う人がいますが、風は煙突の風上から新しい空気を送り込むことですから風速が強いと排ガスは薄まります。風速が2倍になると排ガス濃度は半分となります。

  気温の鉛直分布については、直接目に見えないので直感的に分かり難いです。

  気温の鉛直分布で特徴的なことを挙げると、夏の時期に「上空に寒気が入ってきているため大気が大変不安定になっており、雷雨が起こりやすい状況になっています」という時の「不安定」があります。

  また冬の時期に「明日の朝は放射冷却によって気温が大幅に低下する見込みです」という時は、「接地逆転層」ができる時です。「逆転層」が出来ている状態を「強い安定」と呼びます。

  通常、気温は上空へ上がるに従って低くなります。

  普通より気温が低くなる時を「不安定」と呼びます。上空に寒気が入って来た時がこの状態です。

  普通より気温が低くならない時を「安定」と呼び、そのうち上空ほど気温が高い状態を特に「逆転」と呼びます。

 普通の時は「中立」と呼びます。

     (ここでは、「普通」を断熱減率(-0.98℃/100m)の分布時としています。)

  気温の鉛直分布の違いによる大気拡散の違いを示します。

上空の気象観測の方法

上空の気象観測には、観測する高さによって呼び方が違います。

高層気象観測は、気象庁が観測している呼び名で約35km上空まで観測します。

上層気象観測は、特殊な研究などで観測するもので約10km上空まで観測します。

低層気象観測は、大気汚染に関して観測するもので約2km上空まで観測します。

ただし個々の業務によって違う呼び名を使っている場合があります。

気温の観測の原理

   気温の観測は、風船に温度計をつけて飛ばして観測します。

風向風速の観測の原理

  風向風速は、風船を飛ばして風船の飛び方を観測して風向風速を知ります。

   (最近、気象庁でウインドプロファイラーという隔測観測方法で観測を始めました)


具体的な観測方法

・GPSゾンデ観測

 高度、
風向、風速、気温、(湿度)を観測します。

 観測器(ゾンデ)を風船に吊して飛ばします。

 観測器に搭載しているGPS受信アンテナがGPS衛星の電波を受信しそのデータを基地局へ送ってきます。

 基地局でそれを受信し、風船のリアルタイムの高度、緯度、経度を知ることができます。

 風船の位置データから上空の風向風速を計算で求めます。

 また同時に温度計(湿度計)が測定したデータも送ってきますから気温(湿度)をリアルタイムに知ることができます。

 高層気象観測では、6時間ごと、または12時間ごとに観測しています。

 低層気象観測では、通常3時間ごとに観測します。

GPS観測の詳細へ

・パイロットバルーン(パイボール)観測

 
風向、風速を観測します。

 一定の上昇速度に調整した風船を飛ばして、望遠鏡で追跡します。

 望遠鏡には高度角・方位角の目盛りが内蔵されていて、そのデータがデジタル信号でパソコンに送られて記録されます。

 そのデータを計算して上空の風向風速を求めます。

 低層気象観測では、風向風速の変化が早いので、1時間毎に観測します。

パイロットバルーン(パイボール)観測の詳細へ

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